梅雨の晴れ間を縫うように、福博の街に出かけました。
お目当ては飾り山笠と櫛田神社。
今回はソロではなく、心強い街歩きの達人・Mさんとのコンビです。
まずは福岡市美術館からスタート。
展示物は(もちろん)撮影禁止なので、紹介できるものは少ないのですが、
子供の頃の思い出のアニメの多くは、高畑勲氏による贈り物だったと実感しました。
数十年前のアニメなのに、未だに主題歌を歌える自分にも驚きつつ、ビデオなどの
記録メディアがない時代に「一度見たら心に刻まれる作品」を多種多様に
織りなしていく高畑氏の感性の偉大さ。
子供向けアニメと決して侮ることなく緻密に重厚に、圧倒的熱量を注いで
制作された作品の数々。
あの頃の私を含めた子どもたちはなんと幸せであったことか!!
幸福な余韻に浸りながら、同時に開催されていた「コレクション展 近現代美術展」にも顔を覗かせると、ここでも幸せな邂逅が待っていました。
インカ・ショニバレ CBE氏の、日本を題材にした作品です。
見たいなぁと思っていたものの、ついついチェックし忘れたままになっていた
作品だったので、有り難さ倍増!!
しかもご覧の通り写真撮り放題という福岡市の太っ腹なこと!
今日はなんというめぐり合わせの良い日だろう、とフワフワしながらもう一つの
「コレクション展 古美術」の会場に入ると、ここでもまた出会いがありました。
粛然と佇み、あなたは何者かと問うてくる薬師如来に返せる我が身の有り様が
とても薄っぺらくて、言葉はぐるぐると心の内で巡るばかり。
いくらかグラつく足元に力を込めさせてくれたのは「始まりと終わり」を
司る「阿像」と「吽像」でした。
私は私の始まりで、私の終わりである。
私は始まりから今を見定めつつ、終わりに向かっていくだけだ。
単純な事ほど上手く言葉にできない。